月夜の翡翠と貴方【番外集】


ルトが、前に私に言ったように。


「うん」

ジェイドも、穏やかな笑みを零した。





それからしばらくして、昼食を食べようと思い、食事のできる店へと向かう。


席について、ふっくらと焼けたパンを頬張る。

海産物のサラダも、港町ならではだ。


全て食べ終わると、先に食べ終わっていたルトは嬉しそうに笑った。

「ふは、完食。ジェイドもある程度の量、食べれるようになったね」

優しげにこちらを見つめる目に、少し目線を逸らしながら、「うん」と返事をする。

…はじめのころは、慣れない食事量に胃がついていかず、店で注文するときは、大体ルトの半分以下だった。

けれど、今はルトほどではないにしろ、完食できる量が増えている。


「……おいしい、から」

彩りのなくなった真っ白な皿を見て、ぽつりと呟く。

「いいことじゃん」

健康でいてほしいからさ、と言うと、ルトは通りかかった店員を呼んだ。


「タルトひとつ」


かしこまりましたと言って店員が去って行くと、ジェイドは「デザート?」と訊いた。


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