月夜の翡翠と貴方【番外集】
ルトが、前に私に言ったように。
「うん」
ジェイドも、穏やかな笑みを零した。
*
それからしばらくして、昼食を食べようと思い、食事のできる店へと向かう。
席について、ふっくらと焼けたパンを頬張る。
海産物のサラダも、港町ならではだ。
全て食べ終わると、先に食べ終わっていたルトは嬉しそうに笑った。
「ふは、完食。ジェイドもある程度の量、食べれるようになったね」
優しげにこちらを見つめる目に、少し目線を逸らしながら、「うん」と返事をする。
…はじめのころは、慣れない食事量に胃がついていかず、店で注文するときは、大体ルトの半分以下だった。
けれど、今はルトほどではないにしろ、完食できる量が増えている。
「……おいしい、から」
彩りのなくなった真っ白な皿を見て、ぽつりと呟く。
「いいことじゃん」
健康でいてほしいからさ、と言うと、ルトは通りかかった店員を呼んだ。
「タルトひとつ」
かしこまりましたと言って店員が去って行くと、ジェイドは「デザート?」と訊いた。