月夜の翡翠と貴方【番外集】
ルトは「どーしたしまして」と笑う。
優しい雰囲気が、広がった。
すると、ラサバの隣の席に座っているスジュナが、「あ、ねえ!」と声を上げた。
「スジュナの話、聞いて!」
皆、突然の言葉に驚いた顔をしている。
団長が優しく、「なんだ?」と声をかけた。
皆の視線が集まると、スジュナは少し恥ずかしそうに、けれどしっかりとした顔で口を開いた。
「…スジュナね、がんばる。りっぱな役者さんになれるように、がんばります!だから、これからよろしくおねがいします!」
たどたどしい口調で、精一杯に。
ぱっと頭を下げたスジュナヘ、皆が優しく笑った。
それぞれが、「頑張ろうね」と声をかけている。
スジュナは嬉しそうにはにかむと、照れたように皆を見た。
「あ、あとね…皆のこと、お姉ちゃん、お兄ちゃんって、呼んでもいい…?」
その瞳は、少し不安気に揺れていたけれど。
「当たり前じゃない、もう家族なんだから」
クランの言葉に、スジュナの顔がほころんだ。