月夜の翡翠と貴方【番外集】
「よかったわねえ、ロゼ!お姉ちゃんになるのよ!」
クランが、ロゼをからかうように言う。
ロゼは恥ずかしそうに「クラン姉さん!」と言うと、ぱっとスジュナと目があった。
スジュナの瞳は、期待に満ちていて。
ロゼはその目に眉を下げると、照れたように唇を尖らせた。
「…い、いいわよ。好きに呼びなさいよ」
スジュナは嬉しそうに笑って、「うん!ロゼお姉ちゃん!」と言った。
皆が、優しげにふたりを見つめる。
ルトとふたりで顔を見合わせ、笑った。
…和やかに、穏やかに。
皆が笑いながら、食事は進められたのだった。
*
『あの方達のこと、覚えているかい?』
父はそう言って、微笑んだ。
その手には、手紙があって。
私は一瞬考えたように首を傾げて、
その手紙を受け取った。