月夜の翡翠と貴方【番外集】
私を、優しく抱きしめてくれた。
私に、勇気をくれた。
大切な、大切な人達。
「スジュナ」
手紙を見て涙を浮かべていると、
近くから、赤茶色の髪をした小柄な女性が現れた。
彼女はその凛とした強さをしている目で、私を見ている。
「ロゼ姉さん」
私は「見て」といって、手紙を差し出す。
彼女は驚いたように手紙を受け取ると、
内容を読んで小さく微笑んだ。
「…来て、下さるのね。じゃあスジュナ、頑張らないと」
「うん」
そのとき、奥から父の声がした。
「スジュナ、ロゼ。時間だよ。準備はいいかい?」
ふたりで顔を見合わせ、頷き合う。
そして、歩き出した。
その華やかな、舞台へ。
長く伸ばした金髪を揺らして、
碧の瞳をした彼女は、前を見据える。