月夜の翡翠と貴方【番外集】
その子は、君の幼いころによく似ていてね。
その子は僕の、『娘』になった。
その意味、わかるかい?
僕が父なら、君が母ってことだ。
スジュナには、君の写真を見せているけれど。
本当は会って、君がスジュナを抱きしめてあげてほしい。
もう叶わないことだけど、僕はいつもそう思っているよ。
スジュナは君と違って、明るいんだよ。
いつも元気でね、本ばかり読んでいた君と、性格は似なかったようだ。
僕はいつも、スジュナに元気をもらってる。
君はいつも、病床で僕の心配をしていたね。
『私がいなくなったら、ラサバは今よりもっと情けなくなっちゃうかもしれない』って。
僕はそのとき、『いなくなるなんて言うな』って強がったけど、本当は怖くて仕方なかったんだ。