月夜の翡翠と貴方【番外集】



そう、知りたいの。


……愛しい貴方の、全てを。







チェーリスの街を出て、ゆっくりと時折寄り道をしながら、三週間くらい経ったころ。

ジェイドとルトは、商業の街ミューザに来ていた。


「そろそろミラゼ、戻ってきてるよなぁ」


相変わらずの人混みの中を、手を繋いで歩く。

ジェイドは辺りを見渡しながら、「そうだね」と返した。

「酒場に行くの?」

今は、昼過ぎだ。

昼食もとり、暇になったので街中を歩いている。

ミラゼの営む酒場が開いているのであれば、行きたいけれど。


ルトは「んー」と迷うように考えたあと、「行ってみるか」と言った。

「けどまだ時間早いし、それまではその辺を適当にまわるか」

ルトが、優しく笑う。

私は「うん」と返事をして、辺りをもう一度見渡した。


…ああ、思い出す。

この街で、人ごみをかき分けて、ルトとドレスを探してまわった。

疲れ果てながら、ふたりで。


…なんの目的かなんて、訊かなかった。

訊け、なかった。

そして今も、私は……




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