月夜の翡翠と貴方【番外集】
そう、知りたいの。
……愛しい貴方の、全てを。
*
チェーリスの街を出て、ゆっくりと時折寄り道をしながら、三週間くらい経ったころ。
ジェイドとルトは、商業の街ミューザに来ていた。
「そろそろミラゼ、戻ってきてるよなぁ」
相変わらずの人混みの中を、手を繋いで歩く。
ジェイドは辺りを見渡しながら、「そうだね」と返した。
「酒場に行くの?」
今は、昼過ぎだ。
昼食もとり、暇になったので街中を歩いている。
ミラゼの営む酒場が開いているのであれば、行きたいけれど。
ルトは「んー」と迷うように考えたあと、「行ってみるか」と言った。
「けどまだ時間早いし、それまではその辺を適当にまわるか」
ルトが、優しく笑う。
私は「うん」と返事をして、辺りをもう一度見渡した。
…ああ、思い出す。
この街で、人ごみをかき分けて、ルトとドレスを探してまわった。
疲れ果てながら、ふたりで。
…なんの目的かなんて、訊かなかった。
訊け、なかった。
そして今も、私は……