月夜の翡翠と貴方【番外集】



…その、全てが。

頑なに、私を拒んでいる気がした。






「あら、やだ!ジェイドちゃんじゃな〜い!」


そう、ミラゼが私を見て高く声を上げたのは、その日の夜のこと。

私とルトは、酒場にいた。


「ジェイドさん、久しぶり!」


酒場に入った瞬間、見覚えのある騒がしさと明るさが、ちかちかと目に映った。

そしてルトの隣にいる私へ、酒場の皆が一斉に声をかけてくれる。

「お…お久しぶりです」

何人か知らない人もいるようだが、前に話したことのある人がほとんどだ。


…もう二度と会うことはないだろうと思いながら、『また』と言って手を振ったあの時。

けれどまた、こうやって会って話ができるなんて。


それからしばらく酒場は、ジェイドとルトを囲んで賑やかな話で盛り上がった。

ルトは、カウンターに座っていたリロザと話をはじめたけれど、私は周りとの会話に精一杯で。


明るい陽気な顔をした女が、ジェイドの髪に触れながら、感嘆の声を漏らした。



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