月夜の翡翠と貴方【番外集】
美しい金髪の若い男は、肉を頬張りながら、明るそうな整った顔をこちらに向け、じろじろと、まるで探るようにルトを見つめていた。
…なんなのだろうか。
軽く睨むと、ルトがそれに気づいて、「どしたの」と眉を寄せる。
睨まれた当の本人は、私に気づくと肉を皿におく。
そして、何故かこちらへ、不気味なほどの明るい笑みを浮かべて、向かってきた。
え、と思うより先に、男の唇が開く。
「ルト・サナウェル!久しぶりだね〜!」
そう言って、ぎゅ、と、後ろからルトに抱きついた。
えっ…
驚いたルトが、後ろを振り返る。
「…だ、誰だよ……っ」
見えた笑顔に、ルトは顔を青ざめさせた。
「久しぶり、ルト」
にっこりと、愛想の良い笑みで、ルトを見つめる。
こ、の男は。
この男は、誰なんだ。
「…レっ…レンウ……!」
ルトが口にした名前に、男が嬉しそうに「覚えててくれたね」と笑った。