月夜の翡翠と貴方【番外集】
「な、なんでお前、こんなとこに……」
言いかけて、抱きつかれたままのルトが、こちらに気づく。
驚いてこの光景を凝視している私を見て、ルトは「離せ」とレンウの腕を掴んだ。
ルトから手を離しながら、レンウは「冷たいねえ」と唇を尖らす。
「仮にも、一緒に仕事をした仲なのに」
え………
ルトは「一年前の話だろ」と嫌そうな顔をする。
『一緒に仕事をした』ということは、この男は…
レンウは目を見開く私を見て、ふ、と笑う。
「…綺麗なお嬢さんだねえ」
ルトから目を離し、こちらへ来る。
そして、私の前に立つと、慣れた仕草で私の手をとった。