月夜の翡翠と貴方【番外集】
カップを置いて、彼女の顔を見た。
『…それは…』
『彼女は何があっても自分を好きでいてくれるって思うなら、そんな心配は無用じゃない?結局、信じてないってことでしょう?』
俺が言葉に詰まると、ミラゼは意味深に微笑んだ。
カウンター越しに俺の正面に立って、じっとこちらを見つめる。
…ミラゼの瞳はいつ見ても、透き通っていて、吸い込まれるような魅力があって。
けれど、何も見えない、濁っているようにも見えて。
幼いときから知っているその瞳に誘われて、俺は裏の世界に足を踏み入れてしまったのだけれど。
ミラゼの薄く紅を塗った唇が、静かに開く。
俺も、まっすぐに見つめ返していた。
『…相手に信じてもらえない相棒ほど、苦しいものはないのよ』
何も言えない俺を、ミラゼは強く見つめていた。
『この世界においての相棒っていうのは、命を預けあってるってことよ。唯一無二、互いだけが信じられる存在』
…唯一、無二。
ジェイドは俺だけを信じ、俺もジェイドだけを信じる。