月夜の翡翠と貴方【番外集】
「…………」
…ルトは、目を見開いて固まっている。
こちらをじっと見つめ、信じられないものを見るような目で。
「…ルト。さすが、速かったな」
唯一リロザだけが、ルトを見てあっけらかんとした顔をしていた。
リロザの言葉の意味がわからず、眉を寄せる。
すぐ近くにある彼の顔は、突然の来訪者にも動じる様子を見せない。
まさか、ルトが来ることを、知っていた…?
リロザの言葉に、ルトがハッと我に返る。
「…お前…なに、してんの」
そして、低い声でリロザを睨んだ。
「何って…話をしていただけだが?」
余裕そうな笑みを浮かべるリロザは、そう言うとそっと私の肩に手を置いた。
…さ…先程といい、いきなりどうしたのか。
ムクギに何かを耳打ちされてから、彼の様子がおかしい。