月夜の翡翠と貴方【番外集】
…彼に、伝えないと。
考えて、思って、決めたこと。
私はどんな貴方でも、…たとえその過去がどんなものでも。
私はー…
「ルっ…」
「ジェイド!」
伝えようとしたとき、それはルトの声に遮られて、言えなかった。
びくりと肩を揺らす私を見て、彼は悩ましげな顔をする。
ルト…?
リロザは黙って、ルトを見ていた。
私は戸惑いながらも、「なに…?」と返す。
深緑にいろんな色を混じらせて、彼が「お前は」と言った。
…その、声が、少しだけ震えているような、気がして。
彼のまっすぐな目がこちらへ向けられたとき、今度は身体に、怯えではない震えが走った。
色づいた、深緑。
決意を秘めた、確かな強さで。
まるで射抜くように、彼は私を見つめていた。
酔ってしまいそうな、引き込まれてしまいそうな、そんな視線で。
「…お前は…俺のことを、信じてくれるか」
…小さな弱さの欠片を、見せてくれた。