月夜の翡翠と貴方【番外集】
彼が、こんなひとだったとは。
これも愛のひとつなのだとは、わかるけれど。
なんだかこちらまで可笑しくなって、思わず笑ってしまう。
まだ、酒が抜けていないのだろうか。
「…ミラゼさんのこと、好きなんですね」
「そうですね。向こうはどうかわかりませんけど」
「きっと好きですよ。そう、ありのままミラゼさんに伝えて下さい。不安になっているそうですから」
「不安に?そうですか、それは可愛い」
ふたりで、なんだかわからないけれど、くすくすと笑い合う。
「…すみません。まだ、お酒が抜けていないのかも」
私はどうやら、酒が入ると何故か笑ってしまうらしい。
先程もルトにそれを赤い顔で指摘されて、やはり笑ってしまった記憶がある。
「私もです」
「このまま、ミラゼさんのところへ行ったらどうですか」
「そうですね、ひとつ口説いてみましょうか」
彼のその言葉と同時に、私達は立ち上がって酒場へ戻った。