月夜の翡翠と貴方【番外集】
「…意地でも。私は私の全てをかけて、この村へ尽くしますわ」
まっすぐな、その瞳。
この六ヶ月の間に、セルシアはまた一歩たくましく、美しい女性へと成長したようだった。
「強くなられましたね、セルシア様」
私の言葉に、セルシアは嬉しそうに笑った。
…まだ、ディアフィーネは復興の第一歩を踏み出したばかりだ。
これからが、大変なところだけれど。
すると、ルトが「それにしても」とやはり邸を見回しながら、言った。
「……セルシア様だけじゃなく、邸ん中まで。よく領主は許したな」
…確かに。
娘であり令嬢であるセルシアの動向には、領主も気を配っているはずだ。
さすがに無断で邸のものを売り払うことなんて出来ないだろうから、恐らく領主から許可を得ているのだろう。
つまり、領主も復興に向けて、ひたむきな姿勢をとるようになったということか?