月夜の翡翠と貴方【番外集】


「…そういえば、ロディー様とはどうなってんの?」


この重い沈黙を破るように言ったルトの言葉に、セルシアはびくりと肩を震わせた。

その様子に、なんだか嫌な予感を覚える。

彼女は震える声で、「実は」と言った。


「……二週間ほど、前から…お会いして、おりません…」


やはり。

ルトが、「あらら…」と苦笑いをこぼす。

…ふたりはもう、心は通じ合えているはずなのに。

ロディーはセルシアに惚れているようだし、彼女もそれに応えようとしていた。

婚約者同士としては、充分だ。


「どしたの、何かあったのか?」


ルトが、俯くセルシアの顔を覗き込むように、しゃがんでそう尋ねる。

すると今度は、顔をボッと赤くさせた。

「なっ、なっ、なな、何かあったというか…その、ええと、ただ、私がダメなだけだというか…」

あわあわと口を動かす彼女に、ルトは困ったように「ええ?」と声を上げる。


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