月夜の翡翠と貴方【番外集】


…ああ、なんだか嫌な予感がする。

その答えが、彼にとって望んでいたものだったのだろう。

レンウは「じゃあ」と嬉しそうに口を開いた。


「僕もご一緒させてもらおうかな」


…やはりか。

ルトは、これ以上ないほどに嫌な顔をする。

反面レンウの顔は、有無を言わさない笑みに満ちていた。







「君と共にする夜なんて、何年ぶりだろうねえ、ルト」



部屋のテラスから三日月を見上げながら、レンウはうっとりとした笑みでルトを見た。


あれから数時間。

ルトの必死の訴えにより、レンウの部屋は別となった。

しかし『寝るまでだから』などと言って、こちらの部屋に来ているレンウ。


「気持ち悪い言い方するなよ…」


レンウとの話し合いで疲れたのか、ルトはベッドに沈んでいた。


< 30 / 455 >

この作品をシェア

pagetop