月夜の翡翠と貴方【番外集】
「なんだい、もう休むのかい?せっかくこの離れていた数年を、語り合おうと思っていたのに」
あからさまに残念そうな顔をして、レンウが肩を竦める。
「お前と語らうことなんかねーよ…」
レンウを見ることなく、ルトは長いため息をついた。
「全くもう、情緒のかけらもないねえ」
ルトに話しかけても無駄だと判断したのか、その視線はこちらへ向かってきた。
…なるべくルトの隣で、黙っていたのに。
「君も寝るのかい?」
期待に満ちた顔から、目を逸らす。
「…ルトが寝るのであれば」
静かに答えると、レンウはふざけた調子で「わお」と小さく呟いた。
「僕が隣の部屋で寝てるってのに、君達は今夜も熱い夜を過ごすのかい」
これだから、だとかなんとか言って、呆れたように首を横に振られる。