月夜の翡翠と貴方【番外集】


彼の勇気は、そう何度も出てくるものではないらしく。

その後口を開いてはやめ、顔を赤くするロディーを何度も見かけた。

オリザーヌ邸は今、一週間後に迫った結婚式の準備で忙しくなっている。

ロディーはコンラート家から、結婚式のドレスを五着ほど、候補として持ってきていた。

そのため、今セルシアは別室で着せ替えを楽しんでいる。


「ねえっ、どうかしら、ノワード!このドレス、とっても素敵よ!」


隣の部屋で、ノワードに手伝ってもらいながら着替えては、私とルト、ロディーのいる部屋へ見せに来る。

白、水色、淡い桃色…

薄い色彩は、彼女の桃色の髪によく似合っていた。


全て試着し終えたのか、セルシアが悩んだ表情でこちらの部屋へ戻ってきた。

後ろから、ノワードがドレスの入った箱を積んで持ってくる。


「…うーん…どれも素敵で、選べませんわ」


どうしましょう、と箱から出したドレスを眺めて、セルシアは熟考している。


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