月夜の翡翠と貴方【番外集】
「…どうしたんだい?」
広間の窓のそばで、先程と変わらない笑みを浮かべる、レンウの姿があった。
月光でレンウの金髪が輝いて、一層彼の美しさが妖しいものへと変わる。
「…寝れなくて」
まさか彼がいるとは思わなかったが、今更引き返す気もなく、ジェイドは近くの椅子へ腰掛けた。
広間には、私達以外に誰もいない。
しんと、とても静かな空間だった。
「…そうかい」
レンウは薄く微笑むと、こちらに体を向けて、窓の外を見た。
ジェイドも、欠けた月を見つめる。
「…君は、なにか長けた部分があるのかな」
声にハッとして、視線を向けると、少し厳しい顔をしたレンウと目があった。
「…なにか、とは」
「例えば剣術に長けているとか、武術に長けているとか」
僕達依頼屋にとっては、最も大事なことだよ、と言う。