月夜の翡翠と貴方【番外集】
「ど……どうしたの、その服」
「……ノワードさんが」
そう言って、ルトはチラリとノワードに視線を移す。
ノワードはルトの姿を見て、「お似合いですぞ」と笑った。
「まぁ、素敵。ルトさん、いつにも増して格好いいですわ」
「ハハ、そ?ありがと」
……どうして、ルトが。
セルシアはノワードを見て、「考えることは同じですのね」と笑った。
「さすが、私の執事。仕事が早いです」
彼女はそう言って、私とルトを見た。
「おふたりは、村を救って下さったのです。これは、せめてものお礼としてお受け取り下さい。もうあなた方に召使いなど、していただくわけにはいきませんわ」
優しい微笑みを向けられ、胸が締め付けられる。
……なんて、ありがたいことだろう。
嬉しくて、嬉しくて。
隣を見ると、ルトがこちらを見て笑っていた。
…そう、ね。
好意は、素直に受け取らないとね。