月夜の翡翠と貴方【番外集】
「…じゃあ、お言葉に甘えて」
そう笑うと、セルシアは可愛らしく笑い返してくれた。
*
「どちらにしますか?」
部屋でセルシアが見せてくれたのは、小花柄が可愛らしい黄色のドレスと、黒の落ち着いたデザインのドレスだった。
…どちらにするかなんて、もう決まっている。
「黒の……」
「黄色で」
えっ。
横からそう口を挟んできたのは、ルトだった。
『黄色』と言った彼を、信じられない気持ちで見つめる。
するとルトは、ニヤっと笑って「何か文句でも?」と言ってきた。
「可愛いじゃん。たまにはこういうのも着てみたら?」
「……絶対、似合わない」
「似合う似合う。セルシア嬢、黄色でお願い」
不満を露わにする私を見て、セルシアはフフッと笑って「かしこまりましたわ」と言った。