月夜の翡翠と貴方【番外集】
「…ルトこそ、でしょう。まるで別人じゃない」
そう言って、彼の姿を見つめる。
ジャケットから覗く、白のシャツ。
黒のパンツにブーツを履いている彼は、とても裏の世界で飛び回る人とは思えない。
…いつもと雰囲気が違っていて、どきりとする。
そんな私に気づいているのか、彼は不意に顔を近づけてきた。
「!」
「…ふ。滅多に見れない装いだけど。ジェイドは、どう思う?」
…どう思う、って。
感想をいえば、いいのだろうか。
顔が熱くなってくるのを感じながら、私は小さく口を開いた。
「……い、いいんじゃない」
「…それだけ?」
「……格好いい、と、思う」
そう言うと、彼は薄く笑った。
私の顎に手を添えて、唇を塞ぐ。
息が上がるなかで、ルトは妖しく目を細めた。
「……ドレス着れて、嬉しくねえの?」
……私の思いに、彼は気づいていたようだ。
唇を離すと、ルトはじっと私の目を見つめた。