月夜の翡翠と貴方【番外集】
…パラべの村。
目的地であるコーロへの道のりの、ちょうど真ん中にある村だ。
ネオは、出発する前にもルトに『途中でパラベに立ち寄って』と言っていた。
「…その村に、何か用があるの?」
私がそう言うと、ネオは「はい!」と元気良く返事をした。
繋いでいた私の手から離れ、タタタと足音を鳴らして私達の前を走る。
立ち止まってこちらへ振り返ると、ネオはニッコリと笑った。
「お祭りがあるの!年に一度の祝祭です!人々が踊り、舞う、にぎやかな夜…!確か、今日から三日間のはずだわ」
なるほど。
今日から三日間なら、最終日である明後日に間に合う。
ネオが歩いて帰りたいと言ったのは、この祭りのためか。
「まっ、祭り!?」
ネオの言葉に、タツビが目を輝かせた。
「祭りがあるのか?じゃあ、美味いものが食えるんだな!?」
今にもよだれを垂らしてしまいそうなほど、タツビは頬を緩ませている。