月夜の翡翠と貴方【番外集】
「やっぱりそうなのね!すごいわ。わたし、こんなに美しい髪色の方、初めて見る!」
「オレもー!」
気になって仕方がないのか、ネオが寝台をおりてまで私の髪をじっと見てくる。
すっかり暗くなった窓の外を眺めていたルトは、戸惑う私を見て目を細めた。
「…そのリボン、素敵ね」
結んでいた深緑のリボンをほどくと、ネオがそれを見つめて言う。
淡い、光沢のある上質なリボン。
私は目を細め、それをそっと胸元に引き寄せた。
「…うん。大切な友人から、もらったものなの」
セルシアが、くれたもの。
嬉しくて嬉しくて、あれからずっとこのリボンで髪を結んでいる。
ネオは私を見て、「宝物なのね」と笑顔で言った。
……宝物、か。
「…そうだね」
私が人と出会って、触れ合って、会話をしたこと。
それが、こうやって物として残ると、夢ではなかったのだと実感できる。
…宝物が、これからも増えていけばいいと思う。
すると、ルトがニッと笑って後ろから抱きしめてきた。
「セルシア嬢から、その色を選んだのは俺の目と同じだからって、聞いたけど?」
ん?と言って、ルトは顔を覗き込んでくる。
ネオとタツビが、頬を桃色にして私達を見た。