月夜の翡翠と貴方【番外集】
「……だから、なに」
「嬉しいなぁと思って」
私がフイ、と顔を背けると、ルトはますますニヤニヤとした。
心のなかで、セルシアを恨む。
……知られてしまうなんて、恥ずかしい。
「おふたりは、その…恋人同士、なの?」
遠慮がちに訊いてきたネオに、一言肯定すればいいものを、ルトは面白そうに「どうだと思う?」なんて返事をした。
「ええっ…え、えっと……タツビ、どう思う?」
「おっ、オレか?そ…そうなんじゃ、ねえの?」
タツビとネオは首を傾げながら、こちらを見てくる。
ルトは、楽しそうに声を上げて笑った。
そして、私を抱きしめたまま、体重をかけてくる。
重い、と声を出そうとした時、彼は「…恋人だし、相棒」と静かに言った。
「……こいつがいなきゃ、もう生きていけねーもん」
…そんな言葉が、耳元で声になって響いた。
甘えるように、ぎゅ、と抱きしめられ、顔が熱くなる。
……生きていけない、なんて。
そんなの、嘘でしょう。
「…っきゃー!」
顔を真っ赤に染めて、瞳を輝かせたネオが堪らず叫んだ。
その隣でタツビが、うるさそうに目を細める。