月夜の翡翠と貴方【番外集】
「言われてみたーい、そんなこと!憧れる〜!」
高い声でそう騒ぐネオに肩をつかまれ、力任せに揺さぶられるタツビ。
私はルトを見上げて、むっとした顔をした。
「…ばか」
彼は、嬉しそうに笑う。
その笑顔を見つめながら、先程の言葉を反芻していた。
『こいつがいなきゃ、生きていけねーもん』
……嘘つきで、ずるい男。
幾重にも思いを重ねて、甘い言葉を生み出す。
彼はとても、無責任だ。
…私は貴方がいなければ、生きていけないけれど。
貴方は私がいなくても、きっと前を向いていられるもの。
*
その翌日の昼、私達は途中で小さな街に立ち寄った。
この街を出て半日も歩けば、パラべに着く。
それもあって、ネオとタツビは昨日よりも元気が良かった。
昼食を買うことになり、ルトとタツビが小さな店へ入っていく。
私とネオは、店の外で待つことになっていた。