月夜の翡翠と貴方【番外集】


「言われてみたーい、そんなこと!憧れる〜!」

高い声でそう騒ぐネオに肩をつかまれ、力任せに揺さぶられるタツビ。

私はルトを見上げて、むっとした顔をした。


「…ばか」


彼は、嬉しそうに笑う。

その笑顔を見つめながら、先程の言葉を反芻していた。


『こいつがいなきゃ、生きていけねーもん』


……嘘つきで、ずるい男。

幾重にも思いを重ねて、甘い言葉を生み出す。

彼はとても、無責任だ。

…私は貴方がいなければ、生きていけないけれど。


貴方は私がいなくても、きっと前を向いていられるもの。






その翌日の昼、私達は途中で小さな街に立ち寄った。

この街を出て半日も歩けば、パラべに着く。

それもあって、ネオとタツビは昨日よりも元気が良かった。


昼食を買うことになり、ルトとタツビが小さな店へ入っていく。

私とネオは、店の外で待つことになっていた。


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