月夜の翡翠と貴方【番外集】
「…あの人、誰なの…?」
ネオは不安げに瞳を揺らし、ルトを見ている。
彼は眉を下げて、「…俺の、知り合い」とだけ言った。
そして、こちらを見て、力なく笑う。
「…面倒なことになったな。本当、ごめん」
……謝らないで欲しい。
仕方のない、ことだから。
私は、ぶんぶんと首を横に振った。
ルトは私を見て小さく笑うと、「行こうか」と言って、タツビの手を引き歩きはじめた。
やはり笑顔の戻らない子供達を見て、ルトは「大丈夫!」と明るく笑う。
「何があっても、俺が守るから。ジェイドも、ネオちゃんもタツビくんも」
彼のその言葉に、私はぐっと唇を噛んだ。
……違うでしょう。
そうじゃ、ないでしょう?
「……あの人は、私のことも知ってた」
立ち止まってそう言うと、ルトは驚いた顔をして振り返った。
手を繋いでいるネオは、不思議そうに私を見上げている。