月夜の翡翠と貴方【番外集】
レンウは、皮肉げに嗤う。
私を、責めるために。
「…本気で女に惚れることなんて、ない男だと思ってたんだけどね…まさか、よりによってこんな女だなんて」
「黙れ!!」
ヒュッ…………
「おっと」
素早い音ともに、銀色の刃が空を切る。
私は鋭くレンウを睨むと、彼の唇の目の前に、ナイフを突きつけた。
「それ以上言ったら、許さない」
怒りを瞳に込めて、余裕そうに微笑むレンウを睨む。
さすが、とでも言おうか。
私のナイフを軽やかに避け、なお笑っているのだから。
私の胸ぐらから彼の手が離れ、距離を取る。
彼は私の目を見て、戯けたように肩を竦めた。
「へえ、動きは悪くないねえ。まさかナイフを隠し持っているなんて、思わなかったよ」
僕の顔に傷がつくところだった、と笑うレンウ。