月夜の翡翠と貴方【番外集】
「そのルトって男が連れてる、お嬢様に用があるんだ」
ポト、と煙草がその場に落ちた。
黒い革靴が、落ちた煙草を潰す。
シルクハットを手にとった男は、小太りの男へ向き直った。
その様子を見て、怪しく微笑む。
ボロボロのズボンに手をいれ、男は言った。
「…手を、組まねえか?」
ルトとジェイドと子供達が、街の宿で寝静まった頃。
彼らを貶めんとする影がふたつ、取り引きを行っていた。