月夜の翡翠と貴方【番外集】
祝祭、蝶、狙われたもの
「きゃあああ!お祭り!人がいっぱいよ、タツビ!」
三日目の夜。
パラベの村にやってきた。
小さな村ながら、祝祭とあって賑やかだ。
どこからか音楽が聞こえ、華やかな衣装を見にまとった人々が歩いている。
ネオは、ぴょんぴょんと飛び跳ねて目を輝かせた。
タツビも同じように目を輝かせ、クンクンと鼻を動かす。
「美味いものの匂いがする…!なぁ、早く行こうぜ!」
ルトの手を引っ張り、前へ進もうとする。
私もネオに引っ張られながら、ルトの顔をちらりと見た。
…疲れた顔。
笑ってはいるけれど、絶対に疲れが溜まっている。
彼はやはり敵のことを気にしているのか、あれから恐らく、まともに寝ていない。
夜に、見張りをしていたのだ。
「ここ!これ食べたい!なぁ、ルトさん!」
「わかったから、引っ張んなって。ゆっくり満喫しよーよ」
興奮するタツビをいさめながら、ルトは歩いていく。
私とネオは、その後ろをついていった。
「わぁ、あの女の人、綺麗!」
道ゆく人々を見て、ネオが楽しそうに笑う。
踊り子だろうか。
派手な飾りをつけ、露出の多い服を着た女性とすれ違った。