月夜の翡翠と貴方【番外集】
偶然と必然、私の碧色、ずっと、隣で
「オラ、大人しくしてろよ」
パラベの村から少し離れた場所に、彼らの住み処はあった。
森のなかに建てられた古びた民家で、二階建てとなっている。
二階のいちばん奥の部屋へ、私とネオとタツビは放り込まれた。
後ろに手首を縛られ、抵抗できないまま床に叩きつけられる。
バタンと扉が閉められ、鍵がかけられた。
「…うっ、うわぁぁん、母様ぁぁ……」
声を上げて、ネオが泣く。
泣くのを堪えているのか、タツビはギュッと唇を噛んで、俯いていた。
私は静かに上体を起こし、部屋のなかを見渡す。
……私達のすぐ真上に、大窓がひとつ。
外は、まだ暗い。
ここはどうやら荷物置き場のようで、運搬用の木箱がたくさん置かれていた。
「…………」
…やりようも、あるかもしれない。
私はチラリと、横のふたりを見た。
「……ネオ、タツビくん」
呼ぶと、タツビは顔を上げ、ネオは泣くのをやめた。
ふたつの視線がこちらへ向かってきたのがわかると、私は口を開いた。