月夜の翡翠と貴方【番外集】
私達のやりとりに気づいたネオが、ぱあっと顔を明るくする。
私は自由になった手で、タツビの縄、ネオの縄を解いた。
最後に、自分の足首の縄を解く。
「ありがとう……!」
部屋の外に見張りがいるため、小声で会話。
私は笑って、「あのね」と言った。
「絶対、ここから出よう。ふたりを無事に送り届けるって、約束するわ」
真剣な目をした私の言葉に、ネオとタツビもゆっくりと頷いた。
……ここから、だ。
ルト。
貴方の相棒として、何もせずに死ぬなんてこと、私が私を許さない。
貴方がまだ生きていると信じて、私も戦うんだ。
目を閉じ、私は静かに深呼吸をした。
物音を立てないよう立ち上がり、そっと窓を開ける。
夜風が、月明かりが、私の髪を揺らした。
「……ジェイドさん…?」
目を閉じ、ぎゅっと両手を握りしめた私を見て、ネオが不思議そうに声を出す。
私は目を開けると、懐からあの蝶の髪飾りを取り出した。