月夜の翡翠と貴方【番外集】


怒り狂った男が、私へ殴りかかってきた。

しかし私はそれを、すんなりとかわす。

その数秒後にはルトの蹴りがお見舞いされ、男は気絶して倒れた。


その後ふたりで、木箱を開けた。

泣くネオを抱きしめるタツビが見えた瞬間、緊張の糸が切れたのか、私はそのまま崩れ落ちるように倒れていった。






ネオとタツビを無事送り届け、出血多量で貧血を起こした私は、すぐさま治療を受けた。

剣をかすめた程度であったため、幸い傷は浅く、大事には至らなかった。

ルトはそれを知って、大きく息をつく。

私はそれを、今までとは違う感情で見つめていた。



その日の、夜。

森のなかでも一際高い木の枝の上に、彼に抱きかかえられたまま座っていた。

月が、私達を照らしている。

肩より少し上の長さになった髪に、光が灯った。


「…私ね、ルトが笑ってるのが、大好きなの」


そういうと、彼は優しく目を細めて、「うん」と言った。



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