月夜の翡翠と貴方【番外集】


「…お願い。頭、痛いの。寝かせて」

「ジェイドが隠してること言ってくれたら、寝かせてやるよ」

「…ルト。お願いだから…」


言葉は、最後まで言えなかった。

顎に手を添えられたと思うと、そのまま上を向かされる。

強い深緑と目があって、私は胸が痛んだ。


「なんで最近、そんなんなんだよ。話しかけても上の空だったりさぁ。なに考えてるんだよ」

…離して。

そんな、射抜くような目、やめて。

抗えなく、なるでしょう。


「…それは、本当にごめん。なにもないから、気にしないで」

「嘘つくな」

「ついてな……」

…息が、できなくなるほどに。

言葉を発するために吸った空気は、ルトの唇によって、最後まで吐くことを許されなかった。

唇が塞がれ、荒々しいキスに飲まれる。


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