月夜の翡翠と貴方【番外集】
「…っは、ル、トっ…」
知らない、荒々しさ。
見たことのない、切ない深緑。
キスの隙間で吐いた息さえ、愛おしくなる。
「…なんで、隠すんだよ…」
…揺らいだ深緑が、橙を捉える。
囚われている私は、それに耐えることができない。
熱く、切ない色をした瞳から、私は逃げることができない。
愛しい瞳で、彼は私の嘘を暴こうとする。
「知れることなら、全部知りたい。ジェイドのことは、なんでも。隠し事はしないでほしい」
彼に隠し目を背ける、この嘘を。
頬に手を添えられ、強い目とぶつかる。
…もう、お願いだ。
弱い私は、瞳に涙が溜まっていくのを、耐えることができない。