月夜の翡翠と貴方【番外集】
私は涙を拭いながら、苦しい思いを、口にした。
「…なんでルトは、私のそばにいてくれるの…………?」
歪む視界の中で、ルトが目を見開く。
「…どういう、意味だよ」
だって、もう、分からない。
レンウの言葉は私を責めたて、ルトの行動は私を混乱させる。
情けなくて、悔しくて。
私は止まらない涙で濡らした瞳で、精一杯にルトを見つめた。
「…私は、ルトのことすごく好き」
「…うん」
「でももうわかんない」
ルトは、優しいから。
きっと、私がなんの役にも立たない女だと気づきはじめても、嘘をつき続けるだろう。
そんなの、耐えられない。
生きていけない。
「私は、ルトの隣にいるべきじゃないんだよ………」
零れた弱さは、彼の瞳をより一層見開かせて。