月夜の翡翠と貴方【番外集】
そして、顔を歪めさせた。
「…ジェイドは、俺のものだよ」
そう言って、私の首元に顔をうずめる。
見えた彼の顔は、苦しそうで、けれどとても美しかった。
私が、駄目にしてしまう。
自由で美しい彼を、縛ってしまう。
首の下辺りで、少し痛みが走る。
顔を上げた彼は、やはり辛そうに微笑んだ。
「…離さないよ」
私の首の下につけられたのは、キスマーク。
…こんなものつけたら、本当に離れられなくなる。
わかって、いるでしょう。
「…顔色が良くない。寝ろ」
そう言って、彼はベッドとは逆の方を向く。
部屋の扉の前へ立った。
「…どこ、行くの…?」
「……朝には戻るよ。今日はひとりで寝た方が良い」
その言葉を最後に、ルトの背中は扉の向こうに消えた。