月夜の翡翠と貴方【番外集】
さてどうしようかと思っていると、やはりレンウはニコニコとして、爆弾を落としてきた。
「昨日は…熱い夜を、過ごしたんじゃないの?」
カン、と。
ルトのナイフが、皿に当たる音が響いた。
他の客が何人か、こちらを見る。
「……………」
…やってくれる、この男。
昨日に続いて、さらに恨みがましい思いが込み上げた。
「…あれ?違うのかな?」
少し、黙っていてはくれないだろうか。
空気を読むということを知らないのか、レンウは特に悪びれた様子もなく、笑っている。
ルトが、ナイフを皿に置いたまま固まっているので、仕方なく私は口を開いた。
「…今日は、どうされるんですか」
話題を変えようと、レンウの予定を聞く。
本当は、話したくもない相手だ。
顔を見るだけでも、昨日の夜を思い出して、息が詰まるというのに。