月夜の翡翠と貴方【番外集】


…頬が、熱い。


「…わかんないよ…」


ルトの言葉の意味が、わからない。

…ほら、また。


私を支配して、離してはくれない。


彼の一言が、私を悩ませるのだ。

『どうでもいい』と思い、過ごしてきた私に。


ひどく面倒で、それでも愛しいくらいの想いを、抱えさせる。


なんて、馬鹿なのだろうか。

彼の隣にいるべきではないのだ、と心の奥底で叫んでいても。

見つめられただけで、たくさんの感情が溢れ出してしまう。


嫌になるくらいに、囚われている。


…彼の深緑を、私は狂うほど愛していた。








レンウと宿を出て、港へと歩く。


途中、ルトが鍛冶屋に行きたいというので、近くの鍛冶屋に寄った。


「なんだい、剣でも買うのかい?」


相変わらずにこにこしているレンウは、店内に並ぶ剣や金属器を眺めながら、ルトに声をかけた。


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