月夜の翡翠と貴方【番外集】
「…駄目なら、いい」
「いや、駄目とか言ってないだろ!驚くじゃん。どしたの、急に」
いよいよ心臓が、変な音を鳴らしてきた。
なんだ、その可愛らしいお願いは。
目の前の女は、本当にジェイドなのか。
「…別に。なんか、落ち着くの」
やはり目線をそらしたまま、そんなことを言うジェイドは、可愛い以外の何物でもなくて。
…あー、可愛い。
俺は口角が上がりすぎるのを抑えながら、ゆっくり手を広げた。
「…いいよ。おいで」
ジェイドの橙の目が、一瞬ほのかに色づいたのを、俺は愛しい気持ちで見ていた。
*
ふたりで、ベッドに入る。
俺に抱きしめられたジェイドは、なんだか恥ずかしそうだった。
「…思ったより、暑い」
「はは。今更離れるとか、無理だからね」
少し強く抱きしめると、ジェイドはちら、とこちらを見上げた。