月夜の翡翠と貴方【番外集】
あと、よく泣く。
ジェイドが『ルトのせいだ』と睨んでくるのは、少し意味がわからないのだが。
その辺の女みたいに、中途半端な優しさと甘さじゃない。
厳しさとしたたかさを持って、時折誰よりも優しい行動に、救われるときだってある。
あとは、可愛い、としか言いようがない。
とにかく、可愛い。
「…ルト?」
ジェイドが、不思議そうにこちらを見上げる。
俺は碧の髪を弄びながら、「ん?」と優しく返事をした。
「…なんか、凄く気持ち悪い顔してたから」
…こういう、俺に対しても厳しいところも、好きだ。
「…悪かったな。気持ち悪くて」
「なに考えてるの?」
俺は一瞬考えたあと、にっこりとして「ジェイドのこと」と答えた。
しかし、待っていたのはあからさまに嫌そうな顔。
…どうせまた、『気持ち悪い』とでも思っているのだろう。