月夜の翡翠と貴方【番外集】
「…ジェイド、今幸せ?」
目を細めて訊くと、彼女は目を見開いた。
そして俺の心の奥を覗くように、こちらを見つめる。
やがて、優しく笑った。
「…ルトが幸せだったら、幸せだよ」
…彼女は、俺が全てだと言う。
俺に全てを捧げてしまったこの花は、心底嬉しそうにそう言うのだ。
「…ルトは、幸せ?」
不安そうに訊いてくるその目も、唇も。
「…幸せだよ。ジェイドがいてくれるんならね」
嬉しそうに、微笑むその姿も。
全て、愛しい。
大切な、大切な翡翠葛。
俺が咲かせた、月夜に輝く花。
ジェイドが俺に向ける想いは、もう普通の『愛』のそれとは違うことは、俺もわかっていた。