月夜の翡翠と貴方【番外集】
*再び始まる旅
街で劇団を見かけたとき、いつも頭に浮かぶのは、少女の姿だった。
太陽のように笑う、金髪の幼い少女。
偶然街中を歩いているとき、公演中の劇場を見かけた。
私は思わず、ふと頭に浮かんだことを、口に出していた。
「…劇場、行きたい」
隣でルトが、驚いたようにこちらを見る。
私は慌てて、「ここの劇場じゃなくて」と訂正した。
「その…ラサバさんたちのところの、劇場。思い出して…」
…行きたい、と思ってしまった。
また、あの笑顔に会いたい、と。
「あ、行く?」
…え?
何気なく放たれたその言葉に、私は目を見開く。