The unripe heart
そこで俺は一つ気づいた。
和希はさっきまで持っていなかった物を
持っていた。
「それ何?そのビン。」
ジャムの瓶よりは少し大きいビン。
視力のいい俺にはそのビンに
土がついているのも分かる。
彼は訪ねても何も言わなかった。
タブーだった?
「・・・まぁ、別に良いけどさ。」
話を変えた方がよさそうだ。
しかし、彼は黙り込んだ後
何も変わらぬ声で言った。
「俺の出生の秘密が詰まったビン。」
俺は未だに謎だ。
和希は何故、俺に教えてくれたのだろう。