The unripe heart
「母親の恋人の存在なんてどうでもいい。
例え、その人が父親になろうと。
それは戸籍上の話でしかない。
俺には昔も今も未来も父親はいない。」
彼は淡々と言った。
「でもさ、それは俺の気持だ。
実際は違う。
俺の生物学上の父親が必ずいる。
母親が一度も語らない
俺の父親がいる。
俺はそれが知りたい。誰なのか。」
「・・・母親には聞いた?」
「聞いた。だけど何も言わない。
ただ、その謎はもう解けた。」
和希はビンから一枚の紙切れを出した。
「俺の父親はこの世にいない。」