The unripe heart
彼の手にある紙切れに書かれていた。
「私は一生の愛を和則に誓う。
俺は一生の愛を希子に誓う。」
それぞれ違う人が書いたのだろう。
そしてそれはたぶん和則さんと希子さん。
和則の和と希子の希で和希か。
「希子は母親の名前。
和則は母親の弟の名前。」
「弟?」
彼はここで乾いた笑いをした。
俺の嫌いなこの笑い。
「俺の父親は母親の弟。
母親が隠したがるのもわかるな。」
和希の笑いが部屋に響く。
窓から見える青空に
彼の笑いが吸い込まれている。