ヤンキー先輩!
その賑やかなテーブルで私の名前を呼びながら手を振っているその男は紛れもなくあの爆笑さんこと青木太一だった。
『え、あれって・・・あ!アユちゃん、そういえば学校、南高なんだっけ!そっか。あ、そっか。』
橋田さんは何故か彼らを知っているらしく、1人で何かに納得しているご様子。
「すいません、なんかうるさいんでちょっといってきます。」
『あ、うん!お願い!』
『アユちん遅いっつーの!俺ら2時頃からずーっと待ってたんだから!』
え、学校は?
というのは心に留めておいた。
窓際のこのテーブルには、
この青木太一とカルボ先輩と、あと2人見たことのない不良が座っている。
『太一さん、なんなんすかこの無愛想な店員は』
爆笑さんの向かいに座る今時珍しいくらいのキンキンの金髪男が言う。
悪かったな、無愛想で。
『だから、アユちんだって!雄星とも対等に喋るんだぜ!大物じゃない?』
『は?!おいてめぇ!アユだか鮭だか鮪だか知らねぇけどな、調子のんなよ?ああ?』
金髪男は立ち上がって私の胸倉を掴んだ。
正直苦しい。死ぬ。
『おいハチ!相手は女だ!やめとけ。』
『チッ!何が女だ!胸糞悪りぃ!』
危ない!命を落とすとこだった!
初対面の女に手を上げるなんて、なんて奴だ!
『ごめんね。アユちゃんだっけ?痛くなかった?』
そう言って優しい笑顔を見せるのは、さっきも金髪男を止めてくれたメガネをかけた、唯一マトモそうな男だった。
「いえ、死ぬかと思いましたが無傷です。」
『クスッ。そう。よかった。あ、僕は久石和人。で、この金髪が原田新太。よろしくね。』
「はぁ。よろしくです。」
ま、まともに話が出来る。
だてにメガネかけてないな。