ヤンキー先輩!
「あ。」
席に座ったと同時に、昨日図書室に目薬を忘れたことに気付く。
あれがないと目がかすんで黒板見えないんだよなー。しょうがない。取りに行ってくるかな。
と、重い腰を上げようとした時、
教室がやけに静まった。
『おい。歩。これ、お前んだろ。』
そこに立っていたのは、
声が低くて口にイチゴミルクなんてかわいいもんを加えたカルボだった。
『・・おい、違うのか?』
意外な人物の登場に声を出すのを忘れれば、カルボは眉間にシワを寄せる。
「いや、あってる。ありがと。よく気付いたね。」
『・・・俺、綺麗好きだから。』
え?
なにそれ。
そうなの?
「ものすごく意外なんですけど。」
『よく言われる。俺、図書室行くけどお前もくる?』
チューっとイチゴミルクを吸いながら怠そうにそう言うカルボ。
あれ?この人昨日一瞬あたしが図書室にいること拒否らなかったっけ?
とか思いつつも
「うん行く」
とブンブン首を縦に振る私。
どうやら私も昨日一瞬肩身が狭いとか思ったくせにあの図書室が気に入ったみたい。