【完】俺様キングと秘密の極甘kiss★
ほだされてなんかあげるもんか。
どんなに甘い台詞〔ことば〕も誘惑も、
興味をそそられないんだから。
棗の誘惑になんか、乗っちゃダメなんだ
から。
相変わらずドキドキしてる胸を服の上か
らわしづかみにして、はぁーっと息を吐
く。
正しい自分を捜した。
棗にドキドキしない、正しい自分。
それが本当に正しいのかなんてそんなの
関係ない。
―――それが正しいと、思わなくてはい
けない。
少し落ち着いてきて、一息つくと、ふと
あることに気付く。
さっきからやけに静かだと思ったら、棗
が立ち上がっていないし、一言も発して
無いのだ。
「……棗?」