【完】俺様キングと秘密の極甘kiss★
馬鹿……。
そんなに耳を真っ赤にするくらい恥ずか
しいんだったら、柄にも無いこと、言わ
なきゃいいのに……。
俯く瞬間、チラリと見えた棗の耳が林檎
のように真っ赤だったのを思い出して、
少し口元を緩めた。
家を出ると、棗が手を差しのべてきた。
「……え、何も持ってないけど」
思わずそう言うと、棗がはあ、とため息
をついて。
そのまま、グイッと私の手を引き寄せた
。
「ちょ、棗!?」
「手くらい……繋がせろ」
そう言いながら、こっちを見ずにずんず
んと歩いていく棗。
―――振り払わなきゃ。
私には東野君って彼氏が居るんだから。
他の男の子なんて、手を繋いだりしたら
駄目なんだから。